先日、マリー・ローランサンの絵を観てきた。
彼女の淡い色彩に、確かに私の心は安らいだのだが‥‥
『マリー・ローランサンとモード』という展覧会なので、同時代のココ・シャネルなどがデザインしたファッションも展示されていた。こちらの方はただ、眺めてるだけだったが、妻は興味深くよく観ていたようだ。
私は何故か『戦争』を意識しながら展示物を観ていた。
第一次世界大戦と第二次世界大戦の間に挟まれた時代の、モダンな都会的センスの文化。
マリー・ローランサンがココ・シャネルをキャンパスに描いて20年も経たないうちにヨーロッパは、再び破壊された。平凡な日常の暮らしが破壊され、幾万という人のかけがえのない人生が頓挫され生命が失われた。
100年後の現在、再びヨーロッパ東部で兵器による破壊行為が行われている。そして昨今の日本の政治や社会の動きを見ると、近い将来、日本も戦争に巻き込まれるのではないかという不安を感じる。その日本の動きには、心ならずもヨーロッパ、ウクライナでの紛争を解決する方向から離れ、大きな戦争の火種を作る方向に向かっているのではないかとさえ危惧してしまう。
「20年後、世界はどうなっているのだろう。そして我々の日本はどうなっているのだろうか。」そんな問いかけを頭の中で巡らしながらマリーのモダンなパステルカラーに、私は囲まれていた。